前回までにToy Factory、RecVee、NUTS RV、東和モータース、フジカーズジャパンの5社の人気ビルダーバンコンをリサーチしてきました。どの会社も日本を代表するキャンピングカービルダーであり、それぞれに魅力のあるラインナップをそろえていました。選択肢がいっぱいあり過ぎて迷ってしまいます。
今回はこの5社の総合比較まとめをしてみます。
レイアウトの比較
我が家のキャンピングカーの想定ユースケーは下記となります。
- 基本は夫婦での旅行想定。でも普段使いを想定すると、6人程度の定員希望。
- 就寝パターンはパーソナル空間が維持できる2段ベッド希望。
- トイレルームは保険ではあるが、渋滞時に備えて欲しい。
この様なユースケースから我が家の要望レイアウトとして、乗車定員が6名以上は〇、ベッドパターン、トイレルーム有無の視点で比較をしてみます。今までリサーチしてきたビルダーの各モデル概要比較は下記となります。
ビルダー | モデル | 乗車 | 定員 | ベッドパターン | トイレルーム |
Toy Factory | Alcoba | 4人 | × | 常設2段ベッド | 〇 |
CORDOBA | 4人 | × | リアベッド | 〇 | |
BADEN | 6人 | 〇 | リアベッド | - | |
Bergen | 6人 | 〇 | リアベッド | - | |
RecVee | カントリークラブ | 7人 | 〇 | 常設2段ベッド | 〇 |
ファイブスターセプト | 7人 | 〇 | 常設2段ベッド | 〇 | |
NUTS RV | LEEK | 7人 | 〇 | リアベッド | - |
LEEK2 | 7人 | 〇 | リアベッド | - | |
Radish | 7人 | 〇 | 簡易2段ベッド | △ | |
東和モータース | Zelt Klima | 7人 | 〇 | リアベッド | - |
Zelt Klima Li | 7人 | 〇 | リアベッド | - | |
フジカーズジャパン | Departure | 7人 | 〇 | 簡易2段ベッド | - |
Liberta | 7人 | 〇 | 簡易2段ベッド | - | |
Siesta | 7人 | 〇 | リアベッド | - |
我が家のユースケース3条件(乗車定員6名以上、2段ベッド、トイレルーム有)に合致するレイアウトはRecVeeのカントリークラブ、ファイブスターセプト、NUTS RVのRadishの3モデルとなりました。ただ、条件に合わなくても今回リサーチしたモデルには魅力が沢山あります。最終判断はもう少し検討してからにします。
装備
次に装備に関して比較してみます。ビルダーにより標準装備かオプションかの違いがありますが、メインどころの装備はどのモデルも付けられるようです。快適装備の定番である電子レンジ、FFヒーター、冷蔵庫、ホームエアコンについては下記の様な状況です。
ビルダー | モデル | 電子 レンジ | FF ヒーター | 冷蔵庫 | エアコン |
Toy Factory | Alcoba | OP | OP | 標準40L | OP クールコンプシステム |
CORDOBA | OP | OP | 標準40L | OP クールコンプシステム | |
BADEN | OP | OP | 標準40L | OP クールコンプシステム | |
Bergen | OP | OP | 標準40L | OP クールコンプシステム | |
RecVee | ベース | OP | OP | 標準40L | - |
Superior | 標準 | 標準 | 標準40L | - | |
Superior +AC仕様 | 標準 | 標準 | 標準40L | ホームエアコン | |
NUTS RV | LEEK | OP | 〇 | OP40L | - |
LEEK2 | OP | 〇 | OP40L | - | |
Radish | OP | 〇 | OP40L | - | |
東和モータース | Zelt Klima | OP | OP | OP40L | 12車載クーラー |
Zelt Klima Li | OP | OP | OP40L | 12車載クーラー | |
フジカーズジャパン | Departure | OP | OP | 標準40L | OP 12車載クーラー |
Liberta | OP | OP | 標準40L | OP 12車載クーラー | |
Siesta | OP | OP | 票儒40L | OP 12車載クーラー |
エアコン以外の装備はどのモデルも付けられそうです。エアコンに関してはホームエアコンか12V車載クーラーの選択になりそうです。
ホームエアコンは電源供給が100Vとなる為、車載バッテリーの12Vからインバーターで100Vに変換してエアコンを動かす必要があります。電圧変換をする際に効率が落ちると言う難点があります。また、ホームエアコンは部屋に固定して使用する事を前提に設計されているため、キャンピングカーで振動がある環境で動かす事は想定されていません。そのため、製品寿命に不安があります。常に地震がある部屋で使ってるようなものです。しかし、ホームエアコンは大量生産されているので、安価に抑えられるメリットがあります。
一方12V車載クーラーの場合は、車載バッテリーの電圧をそのまま利用する事を前提とした設計となっているため、電力使用効率が優れています。また、車に載せる事を前庭に設計されているため、信頼性に優れているます。しかし、車載クーラーはホームエアコンと比較して生産量が極端に少ない為、どうしても高価(ホームエアコンの3倍程度)になります。
昨今のトレンドとしては性能面で12V車載クーラーが選ばれる方向の様です。
電源システム
キャンピングカーで重要な電源性能に関する装備を比較してみます。
ビルダー | モデル | サブバッテリー | 100Vインバーター | ソーラーパネル |
Toy Factory | Alcoba | 105Ah OP | OP 1,500W | OP 203W |
CORDOBA | 105Ahx3 | OP 1,500W | OP 203W | |
BADEN | 105Ahx3 | OP 1,500W | OP 203W | |
Bergen | 105Ahx3 | OP 1,500W | OP 203W | |
RecVee | ベース仕様 | 115Ah | OP 1,500W | OP 215W |
Superior | 115Ahx2 | 標準1,500W | 標準215W | |
Superior+AC仕様 | 200Ah Li | 標準1,500W | 標準215W | |
NUTS RV | LEEK | 105Ah | OP | OP |
LEEK2 | 105Ah | OP | OP | |
Radish | 105Ah | OP | OP | |
東和モータース | Zelt Klima | 115Ahx3 | OP1,500W | OP200W |
Zelt Klima Li | 100AhLix3 | OP1,500W | OP1,500W | |
フジカーズジャパン | Departure | 105Ah | OP1,500W | OP |
Liberta | 105Ah | OP1,500W | OP | |
Siesta | 105Ah | OP1,500W | OP |
バッテリーの充実度ではリチウムイオン電池搭載モデルがあるRecVeeのSuperior+AC仕様と東和モータースのZelt Klima Liが一歩貫出ています。特にZelt Klima Liは300Ahのリチウム電池搭載となっており、走行充電システムとソーラーシステム充電の組み合わせによりクーラー稼働にも心強い組み合わせとなります。
キャンピングカーのバッテリーは鉛蓄電池とリチウムイオン電池が多く用いられています。鉛蓄電池の方が一般的で、安全性も高いのですが、寿命、充放電効率、容量低減の面ではリチウムイオン電池に軍配が上がります。
鉛蓄電池は放電電流が高いほど実容量が少なくなります。これを容量低減と言います。鉛蓄電池の場合の容量低減は平均約50%です。リチウムイオン電池はほとんど容量低減はありません。
ちなみに100Ahのリチウムイオン電池の場合、出力電圧は12Vですから出力電力は100Ahx12V=1,200Whとなります。例えば700W出力の電子レンジの場合、消費電力は出力電力の約5倍の3,500Wですので、連続使用時間は1,200Wh/3,500W=0.34h(時間)使用する事が可能です。しかし、同じ容量の鉛蓄電池の場合は容量低減50%を考慮すると、1,200Whx50%/3,500W=0.17hとなります。あくまでもシミュレーションですので、実際とは違うかもしれませんが、目安としては同じ容量でもリチウムイオン電池の方が鉛蓄電池より2倍程度長い時間使用できると考えられます。
最近ではポータブル電源の性能が上がると共に、価格もこなれてきましたので、安価な鉛蓄電池とポータブル電源の組み合わせで使用する事も選択肢としてはアリです。ポータブル電源であれば、ポータブル性を活かして車以外での活用も出来ますので、よりパフォーマンスが上がります。
サブバッテリーとポータブル電源の考察に関しては下記記事が参考になります。
リチウムイオン電池と鉛蓄電池は下記の特徴があります。
鉛蓄電池 | リチウムイオン電池 | |
特徴 | 〇比較的安価 〇使用実績が多い=安全性高い 〇温度範囲が広い 〇過充電、過放電に強い ×低充電状態では電極劣化により充電容量が低下 ×充放電のエネルギー効率が低い | ×比較的高価 ×有機電解液を用いる為、高い安全性確保策が必要 ×高温保存は電池劣化を加速する ×過充電、過放電に弱い 〇充放電エネルギー効率が高い 〇自己放電が小さい 〇劣化が起こりづらく長寿命 〇急速充電が可能 |
寿命 | 300回程度 | 2,000回以上 |
自己 放電率 | 15-20%/m | 1-3%/m |
容量 低減 | 30-50% | - |
まとめ
今回レイアウト面、装備面でビルダー5社の比較を行いました。
レイアウト的には、RecVeeのカントリークラブ、ファイブスターセプトとNUTS RVのRadishが我が家のユースケースには合っているようです。(定員6名以上、2段ベッド、トイレルーム)
設備面では、エアコンと電源容量の面を考慮すると、RecVeeのSuperior+AC仕様と東和モータースのZelt Klimaが有望選択肢です。
いままで価格面は考えずに比較してきましたが、次回は価格面の検討を行ってみます。